夏の間、高山試験地の隣に牛がやってくる。今期も22頭が放牧された。草で育つ牛は胃も発達し健康でおなかが丸くなり体型が違うらしい。フンにも窒素分が少なくなり、分解後は野シバにきれいに吸収され牛が食べ続けるうちに根張りの強い野シバが優先種になっていくそうだ。寒冷地山地を有効活用した自然放牧酪農である。・・・これが飛騨牛かと考えながら足元のフンばかり気にしながら高台へ歩く。ふと御嶽山方面に視線を上げたが梅雨時、やはり姿を隠している。そのとき目前の大木に何やら丸太(空洞の)が!何だ?・・・帰路、牧場の人に遭遇。ミツバチに巣を仕掛けてもらうため、しかし近年は激減と悲しげに話してくれた。
この季節、高山試験地への県道沿いでは、うり坊とその家族もよく姿を見せてくれる。こちらに気付いて慌てる様子は何ともかわいらしい。だが、高山市内でも豚コレラ感染の野生イノシシが発見され、7月~8月に経口ワクチンが300箇所に散布されることとなった。山林の散布箇所にはイノシシのほか熊も寄りつきやすく、県内でも普段と違う場所で熊が見られる一因だそうだ。今まで以上の注意が必要になる。・・・動物たちを取り巻く環境がいつまでも変わらないことを願う。いずれ我々にも返るのだから。
高山試験地 技術補佐員 平塚